各解説

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あなたのトラブルは?

  • 急性扁桃炎
  • 慢性扁桃炎
  • 急性咽頭炎

の可能性があります。

急性扁桃炎とは
主に口蓋扁桃(こうがいへんとう)の急性炎症を指します。口を開けてのぞくと、のどちんこの横にある口蓋扁桃が赤くなって腫れていたり、または扁桃表面が白色の膿でおおわれるタイプがあります。
急性扁桃炎の原因は、細菌感染によるものと、ウイルス感染によるものが考えられます。原因菌としては、化膿性連鎖球菌(れんさきゅうきん)、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などが挙げられます。
症例
症状は、のどの痛み、発熱、嚥下痛(えんげつう)や耳への放散痛、全身倦怠感(けんたいかん)、食欲不振等があります。とくに小児の場合、経口摂取の不能により脱水症状を起こし、重症化するので注意が必要です。
診察では症状と、扁桃の状態を観察します。血液検査では、白血球の増加、炎症の程度をみるCRP陽性などをチェックし、さらに脱水の状態をみるため尿検査をします。適切な抗生剤を投与するために、扁桃の細菌培養検査を実施することもあります。
解決方法
治療では、十分な水分の補給、安静、うがいが重要になります。
薬物治療としては、細菌に対して抗生物質、発熱や痛みに対して消炎鎮痛薬を5日間程度、さらに口腔内を清潔に保つためにうがい薬が処方されます。炎症症状が強い場合、脱水状態のある場合は、積極的に抗生剤などの静脈注射、点滴治療が行われます。
重症化すると扁桃周囲炎(へんとうしゅういえん)や扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)を合併することがあるので、注意が必要です。
慢性扁桃炎とは
慢性扁桃炎は、慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、病巣性(びょうそうせい)扁桃炎(扁桃病巣感染症(へんとうびょうそうかんせんしょう))に大別されます。
慢性単純性扁桃炎は、持続的なのどの痛み・乾燥感・違和感・微熱などの症状があるものです。習慣性扁桃炎は、急性扁桃炎を年に3~4回以上繰り返すものです。扁桃病巣感染症は、扁桃が病巣となって、身体各所に二次疾患を生じるものです。
急性扁桃炎を年に3~4回繰り返すようになると、習慣性扁桃炎または反復性扁桃炎と呼びます。小児期に多く、小学校入学前にピークとなります。
症例
急性増悪期には、急性扁桃炎と同じ原因、症状です。
咽頭痛、嚥下痛(えんげつう)、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、耳への放散痛などが症状としてあげられます。口蓋扁桃(こうがいへんとう)は赤く腫れ、白い塊(膿栓)が付着します。頸部のリンパ節が腫大して痛みを伴うことがあります。
急性期が過ぎると、慢性単純性扁桃炎の状態になり、軽いのどの痛み、乾燥感、微熱があったり、またはほとんど症状のない場合もあります。
解決方法
検査と診断は、急性扁桃炎の場合とほぼ同じですが、細菌の慢性感染があることを示す血液中のASO、ASK測定を追加して行います。
保存的な薬物治療にもかかわらず、扁桃炎を繰り返し、扁桃に膿栓を認め、頸部リンパ節が腫大し、血清ASO、ASK値の上昇を認める場合には、本人または家族と相談して、口蓋扁桃、アデノイドを摘出します。現在のところ、明確な扁桃摘出術のガイドラインはありません。
扁桃は免疫器官であるので、むやみに摘出するものではありません。しかし、繰り返す扁桃炎が日常生活の質(QOL:Quality of Life)に影響するようであれば、積極的に扁桃摘出を考慮したほうがよいと考えます。
急性咽頭炎とは
咽頭炎とは咽頭に起こった炎症のことです。ただし、口蓋扁桃に強い炎症がある場合には、扁桃炎という別の病名で呼んでいます。
さまざまな咽頭炎がありますが、大きく急性咽頭炎(きゅうせいいんとうえん)、慢性咽頭炎(まんせいいんとうえん)、咽頭特殊感染症(いんとうとくしゅかんせんしょう)に分けられます。
急性咽頭炎は、ウイルス(アデノウイルス、コクサッキーウイルスなど)や細菌(A群β溶血性連鎖球菌(ベータようけつせいれんさきゅうきん)、インフルエンザ菌など)の感染によるものが一般的です。刺激性ガスの吸入などによる物理化学的な刺激が原因になることもあります。
慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が治りきらなかったり、たばこの煙、お酒などが慢性的に咽頭を刺激したりすることによって起こります。
咽頭特殊感染症は、梅毒(ばいどく)トレポネーマ、結核(けっかく)菌、ジフテリア菌などの特殊な病原体が原因です。これらの感染症は減る傾向にあったのですが、社会環境の変化などにより近年再び増えており、問題になっています。
症例
急性咽頭炎では咽頭の痛みが急激に現れ、そのほか全身倦怠感(けんたいかん)、頭痛、発熱などを伴うこともあります。慢性咽頭炎では咽頭の不快感、異物感などが慢性的にあり、それに伴って咳払いも増えます。
診断ですが、多くの場合、咽頭は発赤し、症状の経過からも、通常の咽頭炎は比較的簡単に診断することができます。
時に、咽頭の発赤とともに小さな水ぶくれや、その破れたような病変がみられることがありますが、これはヘルパンギーナと呼ばれ、コクサッキーウイルスの感染によるものです。また、白色の病変や、粘膜のただれたような所見があることもありますが、この場合には、特殊感染症やがんとの鑑別が問題になります。咽頭の分泌物や組織を一部採取して、原因微生物の存在を調べることが必要になります。
解決方法
治療では、よくうがいをして咽頭を清潔に保ち、喫煙、飲酒などもひかえ、刺激を与えないようにします。痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を用います。抗生剤は、使用しても痛みなどの症状が改善されないという治療統計が多く、細菌感染が明らかな場合以外には用いる意義は少ないと考えられます。
がまんできる程度の痛みの場合には、うがいなどをして様子をみてもよいと思います。しかし、唾液(だえき)が飲み込めないほどの痛みであったり、発熱を伴う場合には医師の診察が必要です。扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)や急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)など、緊急処置が必要な病気との鑑別も必要になりますので、耳鼻咽喉科を受診するべきでしょう。
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